難病のことを周りの人にどう伝える?:心と準備を整えるためのヒント
難病と診断されたばかりの時、ご自身の心身の不調や、これからどうなるのだろうという漠然とした不安に加え、もう一つ大きな悩みとして「周囲の人たちに病気のことをどう伝えようか」という思いが頭をよぎるかもしれません。大切な家族、親しい友人、そして職場の同僚や上司。それぞれにどのように話せば良いのか、不安や戸惑いを感じるのはごく自然なことです。
この「支え合いの場」では、そうした皆さまの不安に寄り添い、心と準備を整えるためのヒントをいくつかお伝えいたします。
伝える前に、まずはご自身の心を整えること
誰かに病気のことを話すというのは、とても勇気のいることです。すぐに全てを伝えなければならない、と焦る必要はございません。まずはご自身の気持ちと向き合い、病気について理解を深める時間を大切にしてください。
- 無理にすぐに話す必要はありません 病気のことを受け止めるには、時間が必要です。ご自身が落ち着いて話せるようになるまで、無理に伝えることを急がなくても良いのです。
- 伝えたいこと、伝えたくないことを整理してみる 病名、症状、日常生活で困ること、今後について、など。伝えたい情報の範囲を、ご自身の気持ちに合わせて整理してみましょう。すべてを話す必要はありませんし、話したくないことは話さなくても良いのです。
- まずは信頼できるごく身近な人に もし可能であれば、ご家族や特に親しい友人など、一番安心できる相手にまず相談してみるのも一つの方法です。一度話すことで、心の準備が整うこともございます。
誰に、何を、どのように伝えるか考えてみる
伝える相手によって、知りたいことや伝え方は変わってきます。それぞれの関係性を考慮しながら、具体的にどのように伝えるかを考えてみましょう。
- 誰に伝えるか?
- 家族: 生活を共にする上で、具体的なサポートが必要になることも多いでしょう。病気の基本的な情報や、日々の変化について理解してもらうことが大切です。
- 友人: 精神的な支えとなってくれる大切な存在です。病気によって活動が制限されることがあるかもしれませんが、変わらない友情を築きたいという気持ちを伝えられると良いかもしれません。
- 職場の人々: 仕事の内容や配慮してほしいことなど、業務に関わる部分を具体的に伝えることが求められるでしょう。どこまで話すかは、ご自身の状況や職場の環境によって異なります。
- 何を伝えるか?
- 病気の基本的なこと: 病名、症状、日常生活で起こりうることなど、相手に理解してほしい最低限の情報を簡潔に伝えます。専門用語は避け、分かりやすい言葉を選びましょう。
- 具体的な配慮のお願い: 「〇〇を控えてほしい」「体調が優れない時は〇〇させてほしい」など、具体的なサポートや配慮を求める場合は、明確に伝えると相手も動きやすくなります。
- 「変わらないこと」も伝える: 病気になったからといって、人間関係や価値観まで全てが変わるわけではありません。これまでと変わらない関係性を築きたいという思いも伝えてみましょう。
- どのように伝えるか?
- 落ち着いて話せる機会を選ぶ: 相手とじっくり話せる時間と場所を選びましょう。焦らず、ご自身の言葉で伝えることが大切です。
- メモや資料の活用: 話す内容を事前にメモしておいたり、病気に関する公式なパンフレットなどを参考にしたりするのも有効です。情報を整理して伝える手助けになります。
- 完璧を目指さない: 一度で全てを理解してもらうのは難しいかもしれません。少しずつ、時間をかけて理解を深めてもらうつもりで臨みましょう。
伝え方で意識したいこと
相手に病気のことを話す際、いくつか心に留めておきたい点がございます。
- 相手の反応は様々であること 心配してくれる人もいれば、どう接して良いか分からず戸惑う人もいるかもしれません。中には、無神経な言葉をかけてしまう人がいる可能性もございます。それぞれの反応を受け止める心の準備をしておきましょう。
- 質問には、答えられる範囲で 相手からの質問に、全て完璧に答える必要はございません。「まだ私も勉強中なので、詳しくは分からないのですが」といったように、正直に伝えることも大切です。
- SOSを出す練習として 病気のことを伝える行為は、ご自身が困った時に「助けてほしい」というSOSを出す練習でもあります。無理せず、少しずつ、周囲の理解と協力を得られる一歩として捉えてみましょう。
難病と向き合うことは、決して一人で抱え込むことではございません。大切な人たちに病気のことを伝え、理解と支えを得ることは、ご自身が前向きに生活を送るための大きな力になるはずです。
この「支え合いの場」は、同じような悩みを持つ方々が、それぞれの経験や知恵を分かち合う場所です。もしよろしければ、皆さまのお気持ちや経験を共有していただくことで、新たなヒントが見つかるかもしれません。どうぞ、ご無理のない範囲で、ご自身のペースを大切にしながらお過ごしください。